茶事の構成②初座
10月も今日で終わります。
風炉の茶事での主客の所作を簡単に記します。(正午の茶事、初座)
(長々続きますので興味の無い方はスルーして下さい。)
風炉の場合は初座で懐石の後、初炭となりますが今回は初炭を略しました。
茶事前日、決めた料理をイメージしながら器を並べてみた時の写真を元に記します。
■挨拶
席入り後、お客様は床、風炉、釜を拝見し、正客から順に席に着きます。
座が鎮まった頃、亭主は襖を開け、主客総礼し、挨拶を取り交わします。
待合の掛けものや床のお軸等の問答の後に頃を図かり、挨拶をします。
「時分時ですので勝手を見つくろって祖飯を差し上げます。」
襖を閉めます。
■懐石順序
①膳持ち出し(客からの見た折敷)
左が飯椀、右が汁椀、向う中央に向付を置き、日、月、星に見立てて3光といいます。
左は陽、右が陰の位置、風炉の季節には塗物の蓋に茶筅で露打ちをします。
暑い季節には多めに、今回のような季節は控えめに打ちます。
飯は一文字で2口程、汁も同じ量、箸は杉箸を湿らせておきます。
(向皿は永楽妙全)
お客様に膳を運び終わると、亭主は茶道口に座り挨拶をします。
「どうぞお箸をお取り上げ下さい」、襖を閉めます。
②燗鍋、盃台持ち出し
飯、汁を頂き、両椀の蓋をした頃を見計らい、襖を開け燗鍋、盃台を持ち出します。
燗鍋は濡らし、盃には露打ちをしておきます。
亭主は順にお酒を注ぎ、お客様はお酒を頂いてからお向こうに箸をつけます。
(最後まで膳の向こうにあることから”お向こう”)
燗鍋は持ち帰ります。
③1回目の飯器持ち出し(この時、ご飯は取り切れるだけの量をいれます)
露打ちをした給仕盆と杓子、飯器を持ち出し、挨拶をして正客に預けます。
亭主「おつけ致します」、正客「どうぞお任せを」
亭主「では、お汁替えを」
詰まで汁替えをし、飯器を持ち帰ります。
③煮物椀持ち出し
今回のお正客様は90歳近い方で多くはお召し上がりになれません。
煮物椀を吸物椀に替えさせて頂き、量を少なくしました。
茶道口に座り、挨拶「どうぞお熱いうちにお召しあがり下さい」
④2献目の酒(燗鍋)持ち出し、順次注ぎ、終われば燗鍋の向きを変え、詰に預けます。
⑤焼物持ち出し、正面を正して正客に預けます。(中節)
焼物には取り箸として、節が中程にある青竹の箸を濡らして添えます。
この箸が新鮮で青々としていることが亭主の心入れとされています。
今回は知人が山荘の竹を切り、全ての取り箸を作ってくれました。
茶事の度に山荘の花や枝を採って下さり、心から感謝しています。
(黄瀬戸、加藤春鼎)
⑥進肴持ち出し(止め節)
竹の元に節がある青竹の箸を濡らして添えます。
(青磁輪花鉢、加藤撻信)
もう1種の進肴の鉢
普段に使用している鉢です。↓の赤絵の鉢と迷いましたが↑にしました。
⑦2回目の飯器持ち出し(充分な量のご飯を入れます)
⑧茶道口で座り、亭主相伴の挨拶。
「水屋で相伴させて頂きますが、御用がございましたらお手をお鳴らし下さい。」
お客様「どうぞお膳をお持ちだしの上、ご一緒に如何ですか?」
亭主「勝手に用もございますので水屋でお相伴させて頂きます」
襖を閉めます。
お客様同士でお話をしながら懐石をお召し上がり頂きます。
お客様は頂き終ると、燗鍋と焼物、預け鉢の器を茶道口に返しておきます。
⑨亭主は頃を図らい、襖を開け、返された器を下げ、挨拶。
「水屋でお相伴いたしまたが不加減で失礼いたしました。」
⑩小吸物椀持ち出し、煮物椀を持ち返り、茶道口で挨拶。
「どうぞお吸い上げ下さい」
蓋だけしか写っていませんが、小さな塗りの器です。
⑪八寸、燗鍋持ち出し、千鳥の盃。
濡らした木地八寸の左下に海のもの、右上に山のものを盛り、中節を添えます。
亭主とお客様の間を同じ盃が千鳥に行き来する「千鳥の盃は」楽しい時間です。
木地八寸を持っていないのでお土産に頂いた木地の器を見立で使っています。
千鳥が一巡すると、お正客様「どうぞご納盃ください。」
亭主「納盃させて頂きます。」
お正客様「どうぞお湯を。」
燗鍋、八寸を持ち返ります。
⑫脇引に乗せた湯斗、香物鉢(両細箸添え)持ち出し、香物鉢等をお正客様に預けます。
脇引に小吸物椀を乗せて持ち返り、茶道口で挨拶。
「お湯が足りません時はお手をお鳴らし下さい」。
襖を閉めます。
⑬お客様は湯づけを頂き、両椀、盃、向皿、箸を清め、湯斗、香物鉢を茶道口に返却。
⑭箸落とし
お正客様の合図で一斉に箸を落とします。
亭主はこの箸が落ちる音を聞き、少し間を置き、襖を開け、鉢等を取り込み、挨拶。
亭主「お粗末で失礼いたしました。」お客様「ご馳走さまでした。」
⑮お正客から順に膳を下げて懐石は終了。
■初炭点前となりますが、省略。
■縁高に菓子を入れ、濡らした黒文字楊枝を添え、露打ちをして持ち出します。
茶道口に座り、挨拶。
「どうぞお菓子をお召し上がりの上、席を改めたく思いますのでお中立を」
正客「御用意が整いましたら、どうぞお鳴物でお知らせください」
(お鳴物とは奈良ホテルにあった銅鑼のことですが我家にはありません)
主客総礼をして、襖を閉めます。
■初座終了
お正客様から順に、もう一度、床、釜、風炉の拝見をしてから退席し、待合で休息します。
亭主は床の軸を外し、中釘に花入を掛け、露打ちをし、水指、茶入を飾り、風炉中に香を炊き、釜の蓋を切ります。
(今回は炭点前をしませんので、初入り前に多めに炭をいれ、中立後に炭を足します。)
後座の準備を終えると亭主はお客様に知らせ、後入りとなります。
通常のお茶の稽古は、この後座を稽古しています。
濃茶、薄茶、炭点前等は後座で行われるものです。
(初炭は初座)
茶事の後座での所作はいつか機会がありましたら記します。
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